さて、開始から半年が経過して、談四楼オールナイトは動員も好調。午前1時を回ってから開演という超酔狂な設定にもかかわらず、毎回二十名を越えるお客さんを迎えることが出来た。だんだんおなじみになってくださるお客様も出てきた。

少しだけ大胆になった我々は、制作費を(ほんのわずか)アップしてカラーバージョン制作に踏み切った。

2014DanshirouAllNight45


一方、続く第四回 2014年8月10日(日)との兼用で、制作費のロスを浮かせたり営業努力の片鱗も見える。小さいとは言え、そんなに儲からない落語会開催においては、常にこの経費との戦いが繰り広げられる。チラシ印刷も結構馬鹿にならない出費だが、落語はこれがないと集客できない。落語家さんは日々あちこちの会場でこれを配布してくださり、ご贔屓はそれを頼りに迷路のような新宿5丁目を目指す段取りである。ザ・アナログネットワーク。従来のトークイベントではSNSでのみ集客を賄ってきたので、宣伝費は限りなくゼロに近い。だからこそこんなニッチなビジネスが成立してきたわけだが、その理屈は落語界には全く通用しない。駆け出しの落語小屋主人は勝手の違いを愚痴りつつ、百円単位の算盤勘定に精をだすのであった。

さて、今作でご注目頂きたいのは、店名の変更。
トークライブの若い出演者(二十代)が『Biri Biri酒場』という昭和臭漂うネーミングに難を示し、飲み会の度に小うるさいクレームをつけてくるので、めんどくさくなって改名に踏み切ったのだが、これが落語の高齢のお客様には超不評。

「か、かへなんだっけ? ライバルファイヤーだっけ? よくわかんないよ。ビリビリで良かったんじゃないのお」

と予約の電話口でこれまたクレームの嵐を浴びる。
あちらを立てればこちらが立たず。

思えば早くもこのころから、一会場での落語とトークイベントの両立は無理ではないかと思い始めていたかもしれない。ーー電撃座改名まであと二年。

意思が弱く流されやすい私は、常に難局にあってトンズラを志向し、逃亡によって人生の新局面に立たざるを得なくなるのであった。

第五回 2014年10月19日
第六回 2014年12月21日